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'レイプ・男からの発言 (ちくま文庫)' ティモシー・ベイネケ著

ティモシー・ベイネケ (文庫 - Jun 1993) の 'レイプ・男からの発言 (ちくま文庫)'http://amzn.to/cFo6g8 これを読ませてもらった。

医者、警官、加害者、作家などいろんな立場からの男性の個人的意見が書いてある。

 んで、最後に当事者(女性)の意見が書いてあるんやけど、読みきってみて「ああ!」と、自分が感じてた違和感が何なのかわかった。

性犯罪ていうと、なんでかわからんけど性行為について被害者が誘ったのかどうかとか、女をやり込めるためにどーたら、ばっかが論点になってる。
でもほんまはそこじゃない。

 『暴行・傷害・殺人未遂・脅迫という犯罪に、性的要素が絡んでいる=性犯罪』なだけ。

重要視する順番がなぜか性犯罪被害についてはひっくり返ってる。

ひっくり返ってるんが当たり前な時間が長かったがために、強姦神話がうまれ、更に神話によってどんどこ話がややこしくなってる気がした。

 『性犯罪』が持つ特有の痛みや告白しづらさ、は確かにある。
でも、暴行や傷害事件の被害者やったら、多分、みんな「酷い目にあった!」って言っても伝わりやすいんやろうな。

 男の立場からの意見を延々読んでて、一見理屈通ってるよーに見える。
でも、あの本に書いてあった男たちの意見って、よーするに『男は性的衝動に押し流されるしそれに抗えないアホです。』って自分で延々と語って証明しながら『こんなこと語れる俺、すごくね?』って正当化してるだけだった。アホすぎ。

 そういう意味で、ものっすごイラッとくる本でした。

被害直後に読むんはしんどいと思います。

あとアメリカの話やから、日本とはまた違った背景があるんで、「?」ってなるとこもあった。
どんだけお前ら、女に対して劣等感持っとんねん。なんでそこまでして女をやり込めないかんねん、と思った。

男尊女卑ひとつ取っても、日本とアメリカでは全然質が違う感じだし、そこらへんの要素と、あとは『性犯罪加害者についての分析』は殆どナシ(序章にちょっとあるけど)というスタンスで書かれた本だそうです。

また裁判等に対してのシステムも考え方も日本とは違うってこと。
それと強姦された被害者が殺害されるケースが日本よりも多いってとこらへんは差し引いて読んで下さい。

差し引いても、今の日本でまかりとおっている強姦神話とさして変わりが無いところが、ドッと疲れます~。




レイプ・男からの発言
著者:ティモシー ベイネケ
筑摩書房(1988-08)
販売元:Amazon.co.jp
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↑ 今のとこAmazonでは在庫ナシ。
女性センターの貸し出し図書とかにはありそうですね。