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いちサバイバーの思ったこと、考えてることのキロク。

『叱る』と『怒る』は違う

私の近所には結構たくさん小さい子ども(幼稚園や小学生低学年の子)が居ます。

うちには猫がいるのですが、その猫を見に子ども達がうちに来る事がよくあります。
犬がいたときも、その子たちが自分のクラスメイトを連れて来てました。

犬はもう老衰で、最期を看取ろうと思って一緒にいたのですけど、子ども達がフィーダーでお水をあげてくれたり、ブラッシングしてあげてくれたりして、とても嬉しかったです。

そういう子達の中で、うちに一番来ていたAちゃんがいました。
うちに来るのはかまわないけれど、お母さんに何も言わずに来たら心配するから、とAちゃんに話をして、お母さんに挨拶に行きました。

夕方5時には家に帰ってないといけないというルールがあるとのことでしたので、Aちゃんがうちに来てるときは気をつけていました。

ある日、Aちゃんに「そろそろ帰らないと5時になるよ~!」と言って、玄関で靴を履いてもらってた時に、お母さんが迎えに来られました。
私と同い年のお母さんだったのもあって、世間話をしていたら、突然「私ね、ホントは子どもが嫌いなんです。」というのです。

自分の子どもの目の前でですよ?
しかもまだ2回くらいしか会ったことが無い人間(わたし)に言っちゃう話なんだろうか?とビックリしました。

「あの、実は私は子どもの頃、母に『お前なんか産むんじゃなかった』とか散々目の前で言われてきて、ものすごく傷ついたんです。自分の子どもが何を考えているのかわからない、っていう苛立ちは、四六時中一緒にいるわけだからどこかで必ずあるとは思いますが、せめて本人の前でそういう言葉を出すのはやめてあげてもらえませんか?」と言いました。

「元々、子ども嫌いだったのだけど、結婚してから2人の子どもを産み、毎日一緒にいるのが苦痛でたまらない。
時々、子どもを叱っている時に、自分がこの子たちを虐待しているのではないか?と思うことがある。」とのことでした。
(これもまた、私に言う話じゃないだろって感じでしたが。)

実際、このお母さんがAちゃん達を『叱っている』ところを知るようになって、『叱る』と『怒る』の違いについて深く考えさせられました。

そのお母さんがしてるのは『叱る』ということではありませんでした。

例えばですが。
知り合ったときのAちゃんは、まだ時計の読み方を知りませんでした。小学1年生になったところだったので。
なのに、お母さんは「5時には家に帰ってきなさい」と言います。
うちに来てる時に、「5時ってお母さんに言われてるみたいだけど、いつも他で遊んでる時、どこで時計見てるの?」と聞いたら、時計じたいを持ってないし、なんとなくこれくらいかなぁと外の様子を見て家に帰っていたんだそうです。

で、5時過ぎてしまうと、家の鍵を閉められてしまい、入れない。入れてと泣く。
そうすると、お母さんが「なんでアンタは約束を守れないんだ。人をバカにして!」と怒鳴り散らす。
怒鳴ってる内容も「???」な感じで、「泣けば何でも許してもらえると思ってるんでしょ?!」とか、明らかに感情をぶつけているだけの内容。

聞こえてきてしまうので、うーん、これはとにかく変だよなぁと思い、一度、5時に家にAちゃんを送っていく時に話をさせてもらいました。

5時という時間をどこで見ればいいのかわからないし、そもそも時計が読めないのだから、まずそれを教えるしかないですよね?
時計が読めて、かつ時計があるところで遊んでいたにもかかわらず遅くなったのなら、「なんで遅れたんだ」と叱られても子どもも納得がいくと思います。自分が悪かったな、だから叱られてるんだなって。
それをただただ怒って怒鳴ってるだけでは、繰り返すのは当たり前だと思います。

お母さんが言うには、とにかく決めごとを守らなかったり、兄弟とキャーキャー騒いでいるのももう我慢できないほどイライラするので、怒ってしまうんだそうです。

『怒る』=湧き上がった感情を、そのままただぶつけることです。
子どもからすれば、八つ当たりされてはた迷惑な話です。遊んでいたら、突然、母親がキーッ!となって怒鳴り散らしてくる。何か悪いことしたのか?と驚くと思います。

『叱る』のは、相手のためを思って何かを教えたりするために、叱る側が心に余裕を持った上でできることです。
何かやってはいけないことをした時に、再び繰り返さないためにどうしたらいいか、一緒に考えることができるくらいの余裕も必要です。

私は自分で子どもを産んだ経験がありませんから、あなたにはわからないと言われたらどうしようもないかもしれません。

だけど、『怒られ続けてきたけど、アレは一体何だったの?』という経験と、教える仕事をしていたのもあって、人を叱るのはものすごく疲れることで、相手が何をわかってないのか?を考える余裕も必要な場合があるのを知ってます。
そして、叱る相手を大事だと思っていないとできないことだというのも知ってます。

「なんだかずっと怒鳴ってばかりのような気がする」というお母さん、お父さん。
3日に1回でもいいです。
子どもに何を伝えたくて、自分は怒鳴っているんだろう?と振り返ってみてください。