点線。破線。 

いちサバイバーの思ったこと、考えてることのキロク。

「LGBTQと性暴力」「レイプクライシス・ポスター展」個人的レポ。その3



しつこく3つめ。(まだ自分の中に落とし込めてないんです。すいません。) 

まずRC-NETさんが6月に東京で開催されていた、第一回レイプクライシスポスター展を大阪で、という企画でした。

6月のものはこちらを見てくださいませ。
RC-NETブログ
⇒ 6/23~25 第一回レイプクライシス・ポスター展開催!

で、大阪では
公募ポスター展示&そのポスターを見ながらRC-NETの岡田さん・宇佐美さん・野坂さんのトークセッション。


 このレイプクライシス・ポスターのテーマは
【性暴力サバイバーにとって生きやすい社会を】 でした。

大阪に長く住んでいる人はご存知かと思いますが。
電車の駅や車内吊り広告、電信柱や立て看板。
昔から、あらゆるところに「痴漢は犯罪です」とか「痴漢に注意!」とか貼ってあるんです。
役所関係の建物に行けば、「DVは犯罪です」とか「DVをなくそう」とかもあります。
学校に行けば「不審者に注意!」とか。

でも、『注意!』て言われたかて、どない注意してたらええねん?てなった。
『注意!』ていうポスター貼ってある道を通らないと家に帰れないから、通ったら痴漢に遭った=仕方がない・注意が足りない になるのか?

『不審者情報をメールでお知らせ』みたいなのが今はあるそうですが、そもそも『不審者』と認定する条件が謎すぎる。
道聞いても「事案発生」て無茶苦茶でしょう・・・。

でも虐待とかを減らすには地域の人とのコミュニケーションをもっととろう、ってエライ人は言うし。

引っ越ししてきて、挨拶まわりに行けなかったらもう不審者なのか? とか、ツッコミどころが多々あるので、
個人的に「もう性犯罪にあわないように注意しましょう」なポスター見たくないし、要らねぇ!て思っていました。

今回、RC-NETさんが企画・公募してくれたポスターは5月10日締切で企画して下さっていた公募でした。
⇒ <全国公募>レイプクライシス・ポスター展作品募集

 以下、引用デス。

 
<作品を応募いただくみなさまへ>
 

性暴力は、実は、誰にとっても身近なものです。性別や年齢、容姿にも性格にも関係なく、多くの人が被害にあっています。
 あるデータでは女性の4人に一人、男性の6人に一人が被害にあっているというものもあるし、生後まもなくから、90才を越える方の被害も報告されています。セクシュアル・マイノリティの方々の被害もあるし、本当に、性暴力サバイバーと言っても様々です。
 
性暴力は、被害にあった人に対して、大きな影響を及ぼします。精神的にも身体的にも、大きな困難を背負わされることが多いです。通常の生活を送ることが困難になってしまう人も少なくありません。
 
この公募展の中では「被害にあわないために」「被害者にならないために」という視点は必要ありません。 
すでにこの社会にいる性暴力サバイバーが、今後生まれるサバイバーが、 より生きやすい社会になるためにはどうすればいいだろう。という視点で作品を作っていただければと思います。
 
RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク) http://rc-net.info/
 

 


この「すでにこの社会に居る~」の部分に焦点を当てたポスターって見たことがないかも、と思いました。
そして同時に、もう「あわないために」を叫ばれても、既に被害にあった私はどうすればいいの?と思わざるを得なくなるようなポスターは嫌だ、と思っていただけにものすごく嬉しい企画でした。

東京の方、見に行きたかったのですが行けなかったので。
折角大阪で応募ポスターが見れるなら見たい!てことで、行ってきました。

実はトークセッション、ていうものを全く知らなくてですね。
しかも当日、大雨で私のいつも使う電車が完全に止まりましてorz
それで遅刻していったので、初めの方は何をお話しされてたのかワカリマセン。

んが、会場着いて「え?!マジ!?」て思ったのは、ポスターを貼ったボード前に円形に椅子並べてあって。
公募にあたってこんな感じのことあったよ、とかを岡田さんたちと対面で話を聞く・こちらも話すという企画でございました。
(全く予想してなかった&イメージしてなかったので、着いた時に「えっ!?ここに入って座って良いの?!」になった私。)

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実は私、応募してました。ポスター公募するよーてTwitterで聞いてやりたいー!て思って、勢いで作ってRC-NETさんにメールで送ってました。 もはやスパムか、てくらい。

フォトショかイラレ形式で、てことだったので、PCでフォトショ形式の拡張子に変換して送っていたので、実際にポスター状態になってるのを見たのは初めてでした。
ビビりました・・・。うわー紙に印刷されるとこんなことになるのかー!?と。

それと、事前に他の応募作品をFacebookの方で公開して下さっていたのですが。
公募企画を知った時に、女の人が泣き崩れてる系とか、血塗れ系とかばっかだったら個人的に嫌だ・・・て思ってて。
 だって「こんなに悲しんで苦しんでいる人を見捨ててるのよ!」ていう押し付けっぽい感じって、怖いと思ったんです。
それに、その形じゃあ、全然被害にあった人と、被害にあってない人が、同じ位置や同じ場所に居ないことになる。
なのでそういうのじゃない作品が来てたらいいなぁって思っていたら・・・。
見事にそういう作品は来てなかったのです。

むしろ、被害にあった後に私が失くした、忘れていたようなモノをいっぱいイラストにしてくれている方とか。
(たとえばですが、花が綺麗とか、晴れてて気持ちいいとか、そういうの、わからなくなるんです。)
あと、セカンドレイプをなくしたい、とハッキリ書いてくださっているものとか。

実際、性暴力被害で長くつきまとうのはセカンドレイプの方だと私は感じています。
特に「善意からくるセカンドレイプ」が、ものすごくつらいです。
心配してくれているからこそ、気にかけてくれているからこそ、という動機がわかるだけに、いたたまれなくなるんです。
慰めよう、気にしすぎないようにしてもらおう、という配慮が苦しい、という何ともやりきれない、すんなりありがとうとは言い辛い、二次被害。小さくても、チクチクとずっと痛いもの。
そういうことについても、トークセッション参加者の中で話が出来たりしました。

また、子供の時の被害って、なんか嫌な思いをしたんだけど誰にどう伝えていいのか、そもそも話していいのかわからない、ていう体験が私にもあったので。
『性暴力とは~』ていう特別授業をされるよりも、イラストやポスターがあの先生の部屋には貼ってあったから、話せるかもしれない、と思えるのって嬉しいよね、という話が出来たり。

すごく安心できたし、自分の中でうまくまとまってくれなかったものをまとめてもらったり、伝えられたりできた!と感じられる時間と空間でした。

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長々と書いてしまいましたが。
講座もポスター展も、直接伺うことができて本当に良かったと、私は思っています。

「サバイバーが、サバイバーだからこそ見えている世界」と、「支援をしたい・支援できるようになりたい人達の世界」には悲しいけどまだまだ違いがあります。

でもその2つの世界を繋げて、『実は同じ世界なんだよ』と伝えられるだけの情報をそろえ、同時に、そこに居ないサバイバーのことも含めて、性暴力サバイバーに対する安全を確保してあるこのような場、は、そうそう無いと思うのです。

講座が約2時間。ポスター展+トークセッションは約1時間半。

この約3時間を、性暴力サバイバーとして体験してみて、あの場所は『安全』でした。
そして二次被害もありませんでした。
寧ろ、二次被害ってどんなものなのか?をを知ろうとしてくれる人がいるという事実がありました。
それが、私には本当に貴重で嬉しい時間でした。

どうかこの3時間半を、少しでも多くの性暴力サバイバーに。
そして性暴力とは何なのか?二次被害セカンドレイプとはどういうことを指すのか?を知ることができる人たちが1人でも増えて欲しい、と願っています。

RC-NETさん、本当に本当にありがとうございました。

JUST GIVING JAPANにて

「性暴力サバイバーにとって生きやすい社会を」というテーマで公募したポスターの展示&「LGBT×性暴力」講座を地方各所で開催したい!

RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク)さんのチャレンジへの寄付を募っています。


詳細は→http://justgiving.jp/c/9200にて。

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以下は秋日子が発起人になってやってる復刊投票です。

『新版 生きる勇気と癒す力』 ローラ・デイビス/エレン・バス著 とは

著者はどちらも性被害サバイバーです。日本語版の初版は1997年。
その際も数年にわたり再版希望の声があがり、2007年2月に新装改訂版として
【生きる勇気と癒す力―性暴力の時代を生きる女性のためのガイドブック 】という名で復刻されました。

ですが、2011年現在、その新装改訂版も入手困難・絶版となっています。
アマゾンのマーケットプレイスで1万円を超えます。(定価5500円です)
ただ、この本が心理学・精神医学の分野では有名なので、英文版でことたりてしまっており、日本語の一般書としての認知度が低いという心理学関係者の方からもお話をうかがいました。
(実際、英文のものは今でもアマゾンなどで手に入ります。)

日本語版は、本編だけで約500ページ近く。(索引や巻末資料除く)
そこに、DV・虐待等に関する日本の自助グループ・支援機関・医療機関の情報小冊子がついています。
重版にむけて復刻ドットコム→ http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=18498で投票を募っております。

三一書房の小番さまからのDMでも、ここでの投票も重版するにあたってとても重要ですとのことでした。
どうかご協力をお願いいたします。 



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