点線。破線。 

いちサバイバーの思ったこと、考えてることのキロク。

2015/11/12  法制審議会のニュースから思ったこと。

 

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先日の、この強姦罪改定に関するニュースを読んであれこれ調べていて感じたことをだらだらと。

 

私自身は「厳罰化すれば性犯罪がなくなる」とはこれっぽっちも思ってません。

ただ、加害者・被害者の性別が限定されている現行の強姦罪に対して、「ええ加減に性別・性自認は不問に、くらいは変わってくれよ」と思いながら経過を見守ってます。

 

ニュースになった検討会や法制審議会は ↓ です。

法務省 「性犯罪の罰則に関する検討会」各回議事録(法務省HP)

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00090.html

法制審議会第175回会議(平成27年10月9日開催)

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi03500026.html

 まだ議事録は上がってないですが、配布資料は公開されてますんで誰でも読めます~

 

 

「自分に起きたことは性暴力なのかもしれない。どこかに相談をしたい」と思ったとき、まずドカンと立ちはだかる問題は『どこに相談すればいいの?』です。

虐待もそうですけれど。相談窓口が全くない訳では勿論ありません。

問題なのは『設けられている相談窓口の管轄がバラバラで、そのために相談者が必要としている情報や場所になかなか辿りつけない』ことだと思っています。

 

性暴力関係の法令や被害者支援等に関わっている行政機関は、主に3つにわかれています。

まずはニュースにもなった法務省です。
犯罪(刑法違反)や人権侵害に関わる性暴力には、法務省が関わっています。

法務省による法令

・刑法
・児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の
 保護等に関する法律(児童買春ポルノ法)
売春防止法
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律

 

ニュースに取り上げられた法制審議会というのはこれの刑法の部分のお話です。

(刑法が絡むとなると、当然警察庁・警視庁、裁判所等も絡んできます。)

 

つぎに性虐待を含む児童虐待、雇用の分野で起きる性暴力(セクハラなど)は、厚生労働省が管轄になっています。

厚生労働省による法令


・児童虐待の防止等に関する法律
・障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律
・高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

 

虐待に関して未だに謎なのは、法令にある「児童」について、特に性別・性自認は無関係で、むしろ18歳未満であることに重きをおいている状態であることです。

18歳以上20歳未満の人は「児童」にあたりません。「成人」でもありません。

何者にもあたらない空白の2年。「福祉の空白」と呼ばれています。

  

※先日、この空白の2年についての事件が記事になってるのを見つけました。

私自身が18歳の頃のことを思い返すと、父は所在不明でしたから全く他人事ではありません。つーか過去にこの18歳の壁のことでものすごい困りました。悩みました。どうしろってんだよ、と思いました。

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そしてDV防止法等、男女共同参画に関わる性暴力被害は、内閣府が管轄になります。

内閣府男女共同参画による法令

・配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)
・ストーカー行為等の規制等に関する法律
・私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
(リベンジポルノ法)

 DV相談窓口がある女性センター(婦人相談所と書いてあるものもいまだに多々アリ)と呼ばれているところは、この「男女共同参画事業」によるものです。

でもDV被害をうけている人が必ずしも女性とは限りません。ですが現状、男性からの相談を受ける体制が無いところはあります。

(ていうかなんでリベンジポルノ法、内閣府なの?この細分化の必要性ってどこにあるの?)

 

ざっと並べただけでも「何故警察が動けなかったのか?」と言われた事件がいくつも思い浮かぶ事例が既にあると思います。

でも「相談」という入り口だけでこれほどバラバラなのです。

「それ以上はこの部署の管轄ではないから」とされてしまったら、相談にいった人はそこで終わるしかなくなる。

解決しなくていい、ただ選択肢の提示が欲しいだけであっても、繋がってないから相談された機関も「提示できない」「提示しにくい」。

 

こういうバラバラの窓口を少しでも他所と連携して関わっていけるように作られはじめたのがワンストップ支援センターです。

 

まだ数が少ないのも課題ですが。「被害後、2週間~1か月程度のひとたち」が主な対象なので、すでに何年も経ってしまった人たちはここの支援の枠からはずれてしまいます。

(私も思いっきりずっと対象外のまんま今日まできております。)

 

ワンストップセンターって、何でまだ少ないのかなぁと思って調べてみたらこんなん見つけた。

犯罪被害者等基本法 http://www8.cao.go.jp/hanzai/kihon/hou.html

犯罪被害者等施策|政策統括官(共生社会政策担当) - 内閣府

 ・性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター開設・運営の手引|犯罪被害者等施策ホームページ - 内閣府

ざっと読んでみたんですけども、「ただの個人が作るには、めちゃくちゃハードル高い」です。

特にセンター開設・運営の手引きの内容。

医療関係者から弁護士等の法曹関係までつながってないと機能しない。

それも個人でなく地域単位で。

そしてそれらに携わる人たちに、性暴力に性差はないこと、性欲のコントロールが問題なのではないこと、RTSのこと等をいちから学んでおいてもらう必要がある。

 

・・・想像しただけで気が遠くなりました。

だって今、高齢者医療のことでやっと「地域医療の充実」とかやってるところじゃないですか。

うわぁこれあと何十年かかるんだろう・・・。

 

でも、なにか1つ変わらなければ、これからも変わっていかないんだよね。

そう考えたら、刑法っていう明治40年に出来たシロモノを変えようという今回の法制審議会は「とんでもなくすごいこと」だと思うのです。

 

※さっそくWikiに色々書き加えてくれている方が! 

罰則の改正にあたっての要綱を加筆してくださってます~。

強姦罪 - Wikipedia

 

 通告を一元化して受理するコールセンターの設置を求めるweb署名です。

www.change.org