点線。破線。 

いちサバイバーの思ったこと、考えてることのキロク。

日記をつけること

昔の話です。
まだわたしが凄い勢いで自傷行為をしてた頃のことなので、7年以上前ですね。

中学生くらいの時から自傷してたので、わたしにとって『自傷する自分』が当たり前でした。

でもさすがに20代半ばで「もう切るのをやめたい」と思うようなって、お決まりですがネットで自傷行為をしている人達が出入りしている掲示板に書き込みしていました。

もうその掲示板は今は無いのですけれど。

そこで色々な年代の、色々な事情を抱えている人達と出会えたことで、自分に必要なものは何なのか、自分が捨てていいものは何なのかを考えるようになりました。

正直、あの掲示板で起きたこと全部が良かったとは思っていません。

振り返ると明らかに『傷の舐め合い』しかしてなかった時もありましたから。
『傷の舐め合い』ってどういう感じかというと。

「今日、イライラして切っちゃった」と、別に報告義務なんかないのに報告。

その書き込みを読んだ人が「しょうがないよ。私も昨日、切っちゃったし。」

「私たちは切ることでしか苦しいと言えない人間なんだからしょうがないよ。」などとレスポンス。

ずーっとこの繰り返し。

冷静に読み返していくと、ある意味滑稽な内容であることにふと気付いて、それでそこを離れました。

何が滑稽だったのかというと、苦しさや悲しみをシェアするのはいいんですけども、なんでそれが自傷に繋がったのか?については殆ど触れられなかったからです。

リストカットという言葉がマスコミ・出版業界に取り上げられ出した頃だったのもあって、一部では妙な選民意識みたいな空気まで出来上がってました。

そんなもん要らないです


何故、切らずにおれないのか?を考えはじめた人達は、その後、自傷行為から抜けていました。
通院した、しなかったに関わらず、です。

そういう掲示板からの経験で、その後も自傷行為をしている人達と知り合う機会がたくさんあって、やっぱり「やめたいのにやめられない。どうしたらいいんだろう?」と相談されました。

本気でやめたいと思ってる人には、「じゃあ、刃物とか自分が自傷する時に使いそうなものを全部、今すぐ捨てろ」と言いました。
キツイとわかってますよ。「えっ!?」って言われたけど(苦笑)

でもほんと、それしか言い様がなかったんで、そう言いました。

たまに刃物握ったまんまで「苦しい。どうしよう」と電話してくる子とかいたので、「はい。じゃあまずそれを部屋から投げ捨てて。話はそれから。」と強制的に捨てさせてました。

切ることで、一体自分のどういった気持ちをやり過ごそうとしていたのか?
どういったことをスッキリさせたかったのか?

これを見つけようとしない限り、自傷する自分という現状に留まることになります。

留まっている方が、ある意味『慣れ親しんだラクな方法』だからです。

自傷することでしか自己表現が出来ない時期があった。
それはそれでOKなんです。

もう自傷したくないのなら、慣れ親しんでしまった方法を捨てて、自分が納得できる別の方法を探っていくことになります。

それは変化ですから、簡単じゃないかもしれない。切るよりも苦痛を伴うかもしれない。

また自傷行為がぶり返すこともあるでしょう。
3歩進んで2歩下がる、どころか、3歩進んで4歩下がることもある。

でも忘れないで欲しいのは「もう自傷という表現方法じゃなくても、わたしは自分が感じている・考えていることを伝えよう、表現しようとするようになってきた」ということです。

これは本当に大切なことでした。

伝わらなくてもいいんです。表現しきれなくてもいいんです。

自傷や摂食を持ってない人だって、言葉でやりとりして伝わらない事なんて幾らでもあるんですから。


私自身がはじめたのは、ノートに自分の気持ちを書きなぐる事でした。100円均一のボールペンとノートを常に持ってました。
切りたくなったり、死にたくなったら「何でそう思うのか?」をひたすら書くようになりました。

書いたものをはじめは誰にも見せていなかったのですが、後にカウンセリングを受けることになってからは医師とカウンセラーにも見せてました。

日記のような書き殴りを続けてきてよかったのは、自分のことを知る材料になったことですね。
「ああ、この時はわたしはものすごく自分を責めてたんだ」とか、「イヤだったのにイヤだと言ってしまうと、周りに嫌われそうでできなかったんだな」等、苦しさの真っ只中にいる時は見えなかったものが、少し時間を置くことで見えるようになりました。

ものすごく後で、女性センターに行っていた時に、そこのカウンセラーさんと話をしていて、日記をつけて自分の感情や考え方のクセを知るのは、回復の為に良い手段だと言われました。
そのカウンセラーさんは、クライアントには日記をつけてもらっているんだそうです。